NO LIFE, NO WORK.

人生あってのしごと話。

ソーシャルメディアは誰のものか?―ビッグデータのその先が気になってしかたない。

 

先日、ソーシャルメディアとビッグデータがテーマの講演を聴きました。とてもおもしろく刺激的だった一方、消化しきれないものもあり、しばし、何をつぶやいていいんだか状態に。。

 

つぶやきという膨大なデータから解析される情報、ビッグデータの活用がどんどん進んでいます。ビッグデータ活用が当たり前になったときって何が起こるんでしょう?

 

あなたの反応テスト

 

段階1

(リアルタイムにつぶやきを見て)

 

f:id:Ichinoseki:20131013115716j:plain

娘が初ロープクライミング。登頂なう。やるなー( ´ ▽ ` )ノ

 

『へー、この人、娘さんがいてクライミングやるんだー。』

 

段階2

(プロフィールを見たり、過去ツイートをさかのぼって)

『この人、育休取ったりしてワークライフバランスとか興味あるんだー。ニュースとかコラムとかもそれ関連をよく紹介ツイートしているなー。働く女性とか?よくおしゃべりしているみたい。

本の内容もよくつぶやいているな。自由についての本が多い?U理論って本のこともやたらつぶやいているなー。聴いてる音楽もつぶやいてるけど、いまどきCD買ってる?とかほほえましいw 』

 

段階3

(あなたのツイートを解析しました)

『アカウントの属性と特徴は次のとおりです。』

・男性

・30代

・サラリーマン、外資系IT企業、職種PM

・既婚

・子ども2人(4歳、0歳)

・つぶやく時間帯:主に朝夜の通勤時間。寝る前。

・ひとりごと率:36.2%

・興味:ワークライフバランス、働き方、読書(ビジネス書・理論書7割、小説1割、その他。漫画率は不明)、IT、音楽(購入欲高い)、クライミング

・好みのスタイル:凝ったものよりもシンプルなものを好む。自分の自由や価値を見いだせるものを好む

・感情、性格:ネガティブつぶやき率10%未満(表ウラある可能性大。もしくは、おひとよし。)

 

段階4

(第三者があなたの会社のメールアドレスを解析にかけました)

 

『xxx@xxx.com は @Ichinoseki と同一人物である可能性が90%、と特定されました。

 @Ichinosekiの属性と特徴は次のとおりです。』

 ・男性

 ・30代

 (以下略・・・

 

これ、どこかの段階で気持ち悪さを感じたりしますか?

 

この4つの段階は、勝手なデフォルメは施しているものの、技術的にはすべて実現されているものなんです。

 (ひとりごと率36.2%とか。表ウラありそうとか、おひとよしかもだぜコイツ、とか客観的に解析されたら恥ずかし過ぎる。なんだか恥ずかし過ぎる。。)

 

段階4は、メールアドレスの一覧をアップロードすると、それに個人の情報を付加して返してくれるサービスがあるらしいです。

日本では個人情報保護法の観点から実現していないようですが、アメリカ向けにすでに実存しているサービス。付加する個人情報の精度は90%で、なんでもアメリカのメールアドレスの80%のデータを蓄積していると(ほんとかいな?)。メールアドレスからソーシャルメディアのアカウントを推定するアルゴリズムとセットにして実現させているのだとか。・・・なんと。。

 

ソーシャルメディアに投稿したつぶやきからは、たしかにその人の人となりが見えてくるもの。気が合いそうだな、とか。興味や関心が近いな、とか。それはわかります。感覚的にも、頭でもわかります。

 

個人なら、そのレベルの感想で新たなつながりができたり、自分の世界が広がったりしてとてもいいものだけれども。

企業から見たら、個人の属性や行動特性は特別な意味を持っている。意味以上に価値を持っている、と言えますよね。クルマに関心が高い人にクルマの広告を表示させる、DMを送る・・・。マーケターなら欲しくてたまらない情報。

 上の段階1〜段階4の例で、段階を追うごとに、うおぉ…たまらん、ワクワクする!と感じた人は、もしかしてマーケターさんですか。違いますか。違ったらごめんなさい。

 

ソーシャルメディアのマーケティング利用は、ビッグデータ利用例のひとつとして注目されているんですね。

あと、単純な1アカウントのつぶやき分析だけでなく、主に広告会社などがTwitterの情報、Facebookの情報に加えて、ネット通販での購買履歴情報などをもち、データベースが横断的に統合される(Twitterアカウントとお買い物履歴が紐づいたりしている?!)ケースも増えてきて、ますますマーケティング利用の加速は止まるところを知らない模様。

業界の人からしたら何を今さらという感じでしょうけれども。こうしてビッグデータは、どんどんビッグなデータになっていっているようです。

具体的な利活用について、いろんな人が山ほど解説記事などを書いてると思うので、ここでは割愛しますが、多くの具体事例や活用サービスの話を聞いて、次のことを感じました。

 

「膨大のつぶやきデータを活用できないか?(まだ活用方法は模索中)」← 数年前まで。過去の話。

 

「膨大なつぶやきデータはとっくに活用されている。日々、研究され、試行錯誤され、新しい活用方法が次々と生まれている。」← イマココ。

 

何となく頭ではわかっていたものが、確固たる形と距離感を持ってすぐそこに迫っていて、というかすでに包囲されていて、なんだか消化しきれない感情が取り残されてしまいました。。

 

「感動するサービス」

ビッグデータ活用の利点として「その人を知ることで、より感動できるサービスを提供できる」ということを言っていました。

なぜ、執事やコンシェルジュ、老舗の旅館などが感動させられるサービスを提供できるか?というと、それはそのひとの人となりを知っていたり、趣味や家族構成、家族の特徴も含めて、そのひと個人の情報を知っているからだと。その人を知っているからこそ、感動のサービスが提供できるのだと。

 

なるほど。

そのひとをよく知っているから、感動させられる。うん、たしかに。

一瞬、そう思いました。一瞬だけ。

 

でも、すぐ違和感が残っていることに気づいたのは、「それって、そのひとも旅館のことをよく知っていたり、お互いに信頼があるからこその感動だよね?」という疑問。信頼もない人から「あなたがきっと気に入ると思って。・・・これ、どうぞ(ニコ)」とか言われたら。。それ、ちょっとしたストーカーか何かですか。。

 

その人を知るだけでは「感動するサービス」はなし得ない。機械にそれができない、とは言わないです。僕もITの可能性を信じるIT業界のはしっこを担うひとりの人間ですから。けれども、「感動するサービス」には、お互いの信頼関係が必要と感じた次第。

 

「選ぶよろこび」って何だろう?

仮に、ビッグデータの"オススメ"にも信頼がおけるようになって 「感動するサービス」が提供できるようになったとして。

例えば、クルマを買おうというとき、「あなたにぴったりなクルマはこれです!」と即リコメンドされたときに「そっか!それに決めた!ありがとう!」となるんだろうか、どうなんでしょうか。

 

「選んでくれる」ことと、「選ぶ」ことはやっぱり別な気もしていて。

「選ぶよろこび」って何だろう?という疑問も残ります。

 

つまり、前時代的ではあるけれども、各メーカーから気になるカタログを集めてきて、あーでもないこーでもない、と夢想する、あの瞬間。あーでもこーでもないと迷っているあの瞬間自体がけっこう楽しい時間だったりもするわけです。

その上で、時間というコストや、悩みという苦労をかけて選び取ったものに、よろこびを感じるんじゃないか、とか考えるわけです。

 

結局、人はどういう選択プロセスであれ、「自分で苦労して選び取ることによろこび」を感じるんだろうな、と。要は、苦労すること自体が必要なんじゃないかと。

 

"オススメ"に見るビッグデータの活用は、この苦労を低減させること(物を買いやすくすること)を主目的に置いているように思います。それはそれで助かる物もたくさんあるのも事実(あまりこだわりのない物については選ぶ手間はかけたくないもの…)ですが、そうでないモノもある、という観点は必要だなと感じた次第。

 

ビッグデータとともに生きる未来

ここであらためてソーシャルメディアに戻って。

 

個人的には、ソーシャルメディアで自分の世界が広がったと思ってますし、ソーシャルメディアなしには今の自分はない、出会えなかった人がたくさんいる、その恩恵を受けてきました。自分のためにソーシャルメディアを使っていた、と言えます。

多少、無邪気に使ってきた感も否めないですが、マーケティングなどに活用されることを想像していなかったわけでもありません。個人情報は自分でコントロールするもの、として使ってきたつもりもあります。一方で、マーケティング的な活用にも可能性を感じていて、興味もあります。

 

ただ純粋な事実として、個人のつぶやきがビッグデータとして利用されることは増えることはあれど、減っていくことはないでしょう。つぶやけばつぶやくほど人物像がくっきり浮かんでいくでしょう。活用の技術革新も確実に進んでいくでしょう。予想できる未来の種類も確実に増えていくでしょう。

 

これから、どんなデータ活用の未来が待ってるんでしょうか。気になってしかたありません。

 

↓こんなところが技術革新と並行しながら大切になっていくのかな、と勝手に考えつつ。

 

・ビッグデータやITの"オススメ"、"未来予測"が、いかに人からの信頼を得ていけるか?

・人に「選ぶよろこび」を、いかに実感させられるか?

・人が苦労して選びたいモノは何か?(苦労せずに選びたいモノは何か?)

・人が知りたい未来は何か?(知らされない方がいい未来は何か?)

 

 

最後にもうひとつ。

ビッグデータ活用で、これから注目しているのは「画像解析」だそう。

ソーシャルメディアにも写真とか投稿していますけど、画像には文字以上に大量の情報が含まれていて、「これはどこどこで、いつごろ撮られた写真だ。誰々が写っている。」ということもわかるでしょう。(これはすでにかなり実現されていますね。)

もっというと、監視カメラって街中に設置されていますけど、もし、それが利用できるようになれば、「顔認識」と「表情解析」の技術によって「いつ、どこどこに、誰がいた。そのときのその人の気分はどうだった。」ということまでわかるようになるでしょう、と。。

つぶやきは自分の頭でいったん考えて書いたり書かなかったりできますが、これはもう本当に「ダダ漏れ」のデータですね。

 

どうなるんでしょう。気になってしかたありません。

 

 

 

 

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